日本臨床外科医学会雑誌
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放射腺腸管障害5例の検討
安永 昭柴田 興彦久保 宣博友成 一英葉玉 哲生内田 雄三調 亟治
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キーワード: 放射線障害, 放射性腸炎
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1990 年 51 巻 5 号 p. 997-1001

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抄録

放射線治療後の腸管障害に対し外科的治療を行った5例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
症例はいずれも婦人科領域の悪性疾患に対し放射線治療が行われており,その照射線量はいずれも5,000rad以上で,とくに放射線治療のみの1例は9,611radの照射を受けていた.照射より発症までの期間は最短8ヵ月より最長20年とさまざまであったが,1年以内に発症した症例3例であった.
症状としては,3例がイレウス症状で,残りの2例は消化管穿孔にて緊急手術が行なわれた.手術術式としては,1例を除きすべてに腸切除ならびに一期的吻合術を行い,2例に予防的人工肛門造設をおこなった.
放射線による障害を受けた腸管の一期的切除・吻合を行うに際しては病変部より充分に離れた部位で行い,予防的人工肛門造設,さらには組織反応の少ない縫合糸を用いることが重要と考えられた.

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