日本臨床外科医学会雑誌
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潜在乳癌の2症例と本邦報告例の検討
武井 寛幸饗場 庄一塩崎 秀郎松本 弘池谷 俊郎伊藤 秀明
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1991 年 52 巻 12 号 p. 2891-2896

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抄録
腋窩リンパ節転移より発見された潜在乳癌の2症例を報告し,さらに自験例を含め本邦報告59例を集計したので検討を行った.
自験の症例1は49歳女性で,腋窩郭清の後に定乳切を施行し,術後2年6カ月で局所再発が出現し3年4カ月生存中である.症例2は49歳女性で,定乳切施行し,術後2年7カ月肺,肝,骨転移にて死亡した. 2症例とも腋窩,鎖骨下リンパ節に多数の転移を認め,詳細な病理学的検索により症例1は非浸潤癌,症例2は長径1cmの充実腺管癌を認めた.
潜在乳癌の予後は,一般のリンパ節転移陽性乳癌と較べて悪くなかったが,手術時期が遅れると,リンパ節転移が進行し予後不良であった.潜在乳癌が疑われたら,リンパ節転移の程度に応じた術式,補助療法を選択し,速やかに治療を開始することが予後の改善に重要と考えられた.
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