日本臨床外科医学会雑誌
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萎縮胆嚢45例の外科治療
田中 信孝登 政和針原 康進藤 俊哉青柳 信嘉今中 和人出口 順夫上野 貴史
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1991 年 52 巻 2 号 p. 319-325

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抄録

昭和53年より平成元年までの12年間に手術施行した938例の良性胆道疾患中, 4.8%にあたる45例の壁肥厚著明な長径5cm未満の萎縮胆嚢症例45例の外科治療につき検討した.胆石の合併を44例に認めたが萎縮胆嚢の特殊背景病変として内胆汁瘻,合流部結石,内視鏡的乳頭切開術後などがあげられた. CTでは86%で描出可能であったが, USでは診断は必ずしも容易でなく, 61%は高エコー,音響陰影像で推定された.外科治療として基本的に胆摘ないし胆摘+T-ドレナージが施行されたが,標準的胆摘は5例のみに行われ,胆摘困難例では胆嚢部分切除後粘膜破壊を加えた.主たる合併症である胆管損傷を1例に認めた.胆嚢癌の合併は2例4.4%であった.萎縮胆嚢の手術は安全性を優先しつつ可及的に胆嚢切除を意図すべきで,その際癌併存の有無の術前診断が困難であるため術中迅速病理診断は不可欠と考えられた.

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