日本臨床外科医学会雑誌
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大腸癌肝転移再発の検討
山村 卓也瀬尾 圭亮足立 幸博千田 俊哉赤石 治吉田 紘一片山 憲恃山口 晋片場 嘉明渡辺 弘
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1991 年 52 巻 4 号 p. 741-747

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抄録

治癒切除後肝転移再発をおこした27例の大腸癌症例について治療成績やその臨床病理学的特徴を検討した.肝転移再発をおこした症例は進行度が高く,高度リンパ節転移例,組織学的に静脈侵襲陽性が多かった.血清CEAは再発発見時91%が陽性であったが,陽性化した時点で肝転移再発が発見された症例は60%であった.再発が発見された時期は術後半年以上1年末満が44%で最も多く, 2年未満が70%を占めていた.肝転移再発例全体の5年生存率は18%, 50%生存期間は17カ月であった.転移の程度別予後はH1が最も良く, 5年生存率が35%, 50%生存期間が21カ月であった.治療法別では肝切除の予後が良好で60%の5年生存率であった.再発時期別では1年未満の再発が50%生存期間8.5カ月で最も不良であった.肝転移再発の危険因子は静脈侵襲陽性であることを念頭におき,再発を早期に発見し,積極的に肝切除を行うことが治療成績の向上につながる.

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