日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌26例におけるコンタクトサーモグラフィの検討
浦住 幸治郎君島 伊造二瓶 光博畠山 優一高田 信土屋 敦雄阿部 力哉
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1991 年 52 巻 4 号 p. 776-780

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抄録

乳癌患者に対して,コンタクトサーモングラフィを施行し,認められたサーモグラフィを3型(hot spot: H, irregular vascular pattern: IV, asymmetrical thermal pattern: AT)に分類し,それら所見が,臨床病期分類等にどのように反映するか検討し,以下の結果を得た. 1)比較的早期の乳癌においても,サーモングラフィ上, AT, IV所見陽性が認められた. 2) H所見は,腫瘍径が大きくなるにつれて,その陽性率が高くなりさらに,硬癌において高い陽性率を示した. 3)核DNA量との関係では, Aneuploid症例においてH所見陽性率が高かった. 4)サーモグラフィの変化は,皮膚血流の変化と正の相関が認められた.
以上より,コンタクトサーモグラフィは,従来の検査法とは,やや性格を異にし,診断的検査としてではなくむしろ,乳癌細胞の持つ悪性度の判定に有用性が認められ,さらには乳癌発生リスクの予知の可能性が示唆された.

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