日本臨床外科医学会雑誌
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肝未分化肉腫の1例
塩見 正哉蜂須賀 喜多男山口 晃弘磯谷 正敏久世 真悟真弓 俊彦近藤 真治新美 教弘青野 景也新井 利幸森 直治前田 敦行近藤 富雄藤井 秀比古
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キーワード: 肝腫瘍, 肝未分化肉腫
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1991 年 52 巻 6 号 p. 1337-1343

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抄録
肝未分化肉腫は極めて稀で,化学療法,放射線療法等にも反応しにくく,予後不良な疾患である.今回肝未分化肉腫の1例を経験したので報告する.
症例は11歳,女児で主訴は右季肋部痛である.腹部超音波検査, CT検査にて肝右葉に巨大な嚢胞状腫瘍を認め,血管造影検査ではhypovascularであった.摘出標本では腫瘍は厚い被膜に被われており内部には凝血塊を含んだ壊死組織が充満し,肉眼的に明らかな腫瘍成分は認められなかったが,組織学的検索の結果被膜の一部に未熟な間葉系成分からなる腫瘍細胞を認め,肝未分化肉腫と診断した.術後, VCR, ACD, CPAによる多剤併用化学療法を施行し,術後1年5カ月の現在再発の徴候なく健在である.
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