抄録
総胆管癌に合併した十二指腸平滑筋腫の1例を経験した.症例は, 69歳の男性で主訴は右季肋部痛であった. 1989年10月胆嚢炎の診断にて入院. 11月になり黄疸が出現したため内視鏡を行った. Vater乳頭部にびらんをともなった腫瘤と十二指腸下行脚に表面が平滑な粘膜下腫瘤を認めた.生検にて乳頭部腺癌の診断であった. 1990年2月総胆管癌にたいして膵頭十二指腸切除術を施行した.術後経過は順調で, 1年後の現在再発の徴候もなく生活している.組織学的検索の結果,総胆管癌と十二指腸平滑筋腫(2.5×2.0×2.0cm大)であった.総胆管癌と十二指腸平滑筋腫の合併は文献上検索しえたかぎりでは1例の報告を見るのみである.本例は2例めと思われきわめて稀であるので,その臨床的並びに病理学的所見をここに報告した.