抄録
直腸原発の無色素性悪性黒色腫の1例を報告すると共に,直腸肛門部悪性黒色腫の本邦報告154例,特に直腸肛門部無色素性悪性黒色腫と診断された10例に自験例を加え検討した.
症例は33歳,女性.肛門出血を訴え当科を受診した.直腸ポリープの診断のもとに経肛門的に切除された標本の病理組織学的検索で無色素性悪性黒色腫と診断され,低位前方切除術が施行された.術後3年1カ月を経た現在,外来にて経過観察中である.
無色素性悪性黒色腫は,色素性悪性黒色腫に比し若年に発症する傾向がみられ,男女比は1:10,直腸原発と思われるものが約半数を占めていた.本邦報告例をみると直腸肛門部悪性黒色腫の予後は遠隔転移,リンパ節転移のあるものが不良であったが,生検の有無,術式による差は認められなかった.