抄録
症例は81歳,女性.嘔気と高度の嚥下困難を主訴に平成3年9月24日当院入院.食道造影検査で胸部上部食道から中部にかけての壁硬化と内腔の狭小化がみられ,胸部CT検査で食道の壁肥厚を認めた.内視鏡検査では全周性狭窄強度で通過不能,生検を行ったが特記すべき所見は認められなかった. 1カ月後,左頸部に小指頭大のリンパ節を触知,摘出,病理組織学的にはLSG分類diffuse, medium sized typeの悪性リンパ腫であった.よって化学療法を施行すると食道狭窄は軽快し経口摂取可能となった.治療2カ月後再発が疑われ内視鏡検査施行,びらんを伴う隆起性病変を認め,生検の結果は悪性リンパ腫であった.
消化管原発の悪性リンパ腫は,胃,小腸に時に認められるものの,食道原発は極めてまれとされている.食道に原発した悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.