日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺および皮膚への転移を認めた胃癌の1例
山本 眞也河本 知二久米川 啓田中 聰
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1992 年 53 巻 10 号 p. 2427-2430

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抄録
乳腺および皮膚転移を来した37歳女性の胃癌の1例を報告する.胃癌(低分化腺癌)に対して胃全摘術を施行した2カ月後に,左前胸部に皮下結節が出現し,右乳腺を含めた前胸部と腹部の皮膚に多数の結節が続発した.右乳腺腫瘤が急速に増大したために,右乳腺全切除術を施行したが,術後4週間で死亡した.組織学的検査で胃癌の転移と診断された.画像上肝や肺に転移がなく,腹部大動脈周囲に多数のリンパ節腫脹がみられたこと,また切除した乳腺のリンパ管内に癌細胞がみられ,皮膚転移が前胸腹部に集中的にみられたことから,リンパ行性転移と推察された.
胃癌の乳腺および皮膚転移の治療に際しては,胃癌の広範な進展を示すものとしてまず化学療法を行い,その効果をみた上でその後の方針を決定すべきものと考える.
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