抄録
当教室では,昭和40年1月から平成3年6月までの26年6カ月間に12例の胃原発筋原性悪性腫瘍を経験した.同時期の胃原発悪性腫瘍1,297例の0.93%を占め,胃筋原性腫瘍24例の50%にあたる. 5年生存率は75%と諸家の報告とほぼ一致していた.腹部腫瘤で発見された症例が6例と多く特徴的な所見といえる.組織学的悪性度(mitosis rate)と予後とは一致しなかった.腫瘍径が10cmを越える症例での早期再発死亡がみられ,予後は腫瘍径に左右されるのではないかと思われた.腫瘍径の大小と壁外浸潤の有無に関わらずリンパ節転移は稀で,多くは1群リンパ節に限られており2, 3群へのリンパ節転移は1例ずつのみであった.