抄録
apple core signは腫瘍最大径が3.0cm以上,進達度がss以下に及ぶ潰瘍形成型進行大腸癌に特徴的な所見とされている.われわれは術前の注腸造影検査にてapple core signを呈したS状結腸憩室炎の2症例を経験したので報告する.両症例共大腸内視鏡は狭窄部位を通過できなかった.同部位での生検は悪性所見はなかったが,癌の可能性を否定できず手術を施行した.症例1は64歳男性,注腸造影にてS状結腸憩室とapple core signを指摘され, S状結腸切除術を施行した.組織学的診断は憩室炎による炎症性の狭窄で,悪性所見はなかった.症例2は47歳男性.注腸造影にてS状結腸にapple core signと下行結腸およびS状結腸に憩室を認め左半結腸切除術を施行した.組織学的検査では結腸憩室炎であった.結腸憩室炎においても隣接する複数の憩室の慢性炎症により漿膜の繊維性肥厚を来しapple core signを呈し得ると考えられた.