抄録
頸部迷走神経および腕神経叢からの神経鞘腫の発生は比較的稀とされているが,今回左頸部迷走神経鞘腫と左腕神経叢由来の神経鞘腫を異時性に発生した症例を経験したので報告する.症例は52歳女性で, 17年前に左頸部迷走神経の神経鞘腫摘出術を受けていた. 5年前より左鎖骨下に腫瘤を認めたが,最近増大傾向と自発痛が出現したため来院した.触診上腫瘤は超鶏卵大,弾性,硬で, CT及び超音波検査,穿刺生検で腕神経叢由来の神経鞘腫と診断し,全身麻酔下で被膜下腫瘤摘出術を行った.術後新たな神経障害もなく2週間後に退院した.腋窩の神経鞘腫はその解剖学的特徴から腫瘍摘出術後の神経障害を来しやすく,悪性でなければこれを避ける為に被膜下の摘出が適当と思われた.