日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
糖尿病に合併した非クロストリジウム性ガス壊疽の1例
向田 尊洋近藤 潤次野上 厚志池田 光則原 史人中嶋 健博
著者情報
キーワード: ガス壊疽, 糖尿病
ジャーナル フリー

1992 年 53 巻 11 号 p. 2790-2793

詳細
抄録

糖尿病を合併した足底難治性潰瘍に非クロストリジウム性ガス壊疽(non-clostridial gas gangrene, NCGG)発生をみた1症例を報告する.症例は63歳女性.糖尿病に右第I趾の難治性潰瘍が合併したため入院.入院後,右足腫脹,足底皮膚黒色化,悪臭を伴った膿排出,圧迫による捻髪音, XPのガス像を認め, NCGGと診断.抗生剤投与,皮膚乱切など保存的治療をしていたが, CTでガス像の拡大を認めたため右下腿切断術を施行. NCGGは糖尿病などの基礎疾患に合併することが多い.本症例も糖尿病のコントロールが不十分であり,右第I趾の潰瘍が感染源となりNCGGが発症したと考えられた. NCGGは病態進行が比較的緩徐で治療時期を逸しやすく,予後不良となることがあるため,早期に膿のグラム染色による起炎菌の推定を行い, NCGGとCGG (clostridial gas gangrene)を鑑別することが肝要である.保存的療法で治癒傾向が認められない場合は,患肢切断を躊躇すべきではない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事
feedback
Top