日本臨床外科医学会雑誌
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術中セファロスポリン系抗生剤投与および洗浄による術後感染予防効果の臨床的検討
中島 公博加藤 紘之奥芝 俊一下沢 英二田辺 達三
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1992 年 53 巻 12 号 p. 2830-2834

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抄録

当科では術後創感染,腹腔内感染予防のため術中抗生剤の点滴静注ならびに創洗浄などの感染対策を行っており,その予防効果について検討した. 1989年1月から1991年1月までに施行した準無菌手術180例のうち術中抗生剤投与例は84例,非投与例は96例であり,術後創感染,腹腔内感染の有無について検討した.縫合不全合併例を除外した術後創感染は投与群において3例(3.6%),非投与群において5例(5.2%)であった.また腹腔内感染は投与群で7例(8.3%),非投与群で10例(11.1%)であり,創,腹腔内感染ともに有意差は認められないものの投与群で低率であった.また手術操作終了後の細菌学的検査陽性率と術後の感染症発生とは無関係であった.
以上から,術中抗生剤は術後感染予防に有効であるが限界があり,生体側因子,細菌側因子など他の要因の占める割合が大きいと考えられた.

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