日本臨床外科医学会雑誌
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早期胃癌を合併した動静脈瘻を伴う孤立性腸骨動脈瘤の一期的手術例
綿引 洋一馬場 恵才川 義朗泉 陽太郎小原 誠小坂 昭夫蜂谷 貴
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1992 年 53 巻 12 号 p. 3048-3052

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抄録

左総腸骨静脈に破裂穿破し心不全を呈した孤立性腸骨動脈瘤の1例を経験した.症例は85歳,男性. 2年前に突然心不全を発症し治療中であった.早期胃癌を合併し直腸診及びCTにて動脈瘤が診断された症例である.動脈造影では動静脈瘻(左内腸骨動脈~左総腸骨静脈)を認め,これによる心不全と考えられた.患者の全身状態・年齢・予後等を考慮し,一期的手術を施行した.総腸骨動脈瘤に対しては左総腸骨動脈~左外腸骨動脈間を単管人工血管にて置換,内腸骨動脈瘤は切開して瘻孔を瘤内より縫合閉鎖した.早期胃癌に対しては,幽門側の胃部分切除を施行した.心負荷が消失し心胸郭比(CTR)は著明に減少した.また人工血管への感染もなく術後経過は良好で,本症例に対する一期的手術は非常に有用と考えられた.

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