日本臨床外科医学会雑誌
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大腿深動脈瘤の1例
古谷 四郎大守 規敬宇高 徹総今井 茂郎辻 尚志川上 俊爾小野 監作大塚 康吉佐藤 泰雄
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1992 年 53 巻 12 号 p. 3042-3047

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抄録

真性の大腿深動脈瘤を経験したので本邦報告例の集計を加えて報告する.症例は79歳男性で主訴は左大腿部腫瘤.末梢動脈の閉塞はなかったので瘤切除のみ行い,血行再建は行わなかった.瘤は9.5×7.0×8.0cmの動脈硬化性の真性大腿深動脈瘤であった.術後1年9カ月現在他に動脈瘤の発生を認めていない.
本邦では現在まで自験例も含め64例が報告されている.平均年齢は68.1歳と高く, 58例が男性であった.両側に発生したのが9例,併存動脈瘤が31動脈22例,破裂が29例に認められた.原因としては動脈硬化が49例ともっとも多かった.治療はカテーテル塞栓が1例に行われ,他は瘤切除か動脈結紮が施行された.またそのうち24例で血行が再建された. 2例が四肢切断に陥ったが他は予後良好である.

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