日本臨床外科医学会雑誌
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リンパ節転移陰性(n0)乳癌の予後に関する臨床病理学的検討
神崎 正夫中谷 雄三町田 浩道鳥羽山 滋生戸田 央小島 幸次朗小助川 克次清水 進一小林 寛
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1992 年 53 巻 3 号 p. 510-517

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抄録

1976年より1985年までに当院で手術を行った組織学的リンパ節転移陰性乳癌(n0乳癌) 180例において,再発高危険群の選出を試みるために予後因子の検討を行った.観察期間中央値は94カ月で,現在までに24例(13%)の再発を認めている.
再発率に有意差を認めた因子は腫瘤径,組織型,組織学的悪性度で,健存率では腫瘤径,組織学的悪性度には有意差を認めたが,組織型には認められなかった.この3つの予後因子をスコア化し,組織型での特殊型9例を除く171例をこの予後因子スコア合計によって3群に分類すると,各群の再発率は7.4%, 16%, 25%,健存率は92%, 83%, 74%で有意差を認めた.よってこの3つの予後因子スコア化により, 28例(16%)の早期再発死亡の傾向を示す再発高危険群が選出された.
n0乳癌の多因子スコア化による予後解析は全身補助化学療法の適応とされる再発高危険群選出には有用であると思われた.

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