日本臨床外科医学会雑誌
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同時性肝転移胃癌に対する肝合併切除例の検討 -特に原発巣と転移巣の核DNA量とCEA組織染色からみた予後との関連-
種村 廣巳佐治 重豊近石 登喜雄蔭山 徹古田 智彦東 修次宮 喜一国枝 克行梅本 敬夫鷹尾 博司杉山 保幸田中 千凱
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1992 年 53 巻 3 号 p. 523-527

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抄録

同時性肝転移胃癌のうち肝転移合併切除を行い相対非治癒切除となった10症例を対象に胃原発巣と肝転移巣の癌細胞核DNA ploidy patternやCEA, AFPの免疫組織染色からみた生物学的特性と予後との関係について検討した.うち3例が3年以上経過した現在生存中である.一方再発死亡7例中5例は残肝再発であった.術後長期生存5例中3例が胃原発巣,肝転移巣ともに核DNAヒストグラムがlow ploidy patternを示したが,短期死亡5例中4例は胃原発巣,肝転移巣ともにhigh ploidy patternを示し,他の1例は胃原発巣でlow ploid,肝転移巣でhigh ploidと多様性を認めた.免疫組織染色でもCEA染色にて長期生存の1例に胃原発巣で染色陽性が肝転移巣で陰性化を示した症例がみられた.胃原発巣と肝転移巣間の生物学的特性の多様性が同時性肝転移胃癌術後の予後に関係することがありうると考えられる.

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