日本臨床外科医学会雑誌
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膵頭部癌切除例に対する術中照射療法の検討
中迫 利明羽生 富士夫今泉 俊秀鈴木 衛原田 信比古羽鳥 隆新井 俊男広瀬 哲也大川 智彦喜多 みどり田中 真喜子
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1992 年 53 巻 3 号 p. 549-556

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抄録

膵頭部癌切除例に対する術中照射(IORT)の意義を明らかにする目的で, 1983年から1990年までに拡大膵頭十二指腸切除(拡大PD)が施行された70症例を拡大PD+IORT群16例,拡大PD単独群54例にわけ,さらに組織学的治癒切除42例を拡大PD+IORT群12例,拡大PD単独群30例,組織学的非治癒切除28例を拡大PD+IORT群4例,拡大PD単独群24例にわけ,線量25Gyの術中照射の有無で,術後生存期間,局所再発を検討した.
生存月数中央値は,全体で拡大PD+IORT群13カ月,拡大PD単独群13カ月,治癒切除で拡大PD+IORT群13カ月,拡大PD単独群14カ月,非治癒切除で拡大PD+IORT群14カ月,拡大PD単独群11カ月と差はなかった.局所再発は,全体で拡大PD+IORT群75%,拡大PD単独群50%,治癒切除で拡大PD+IORT群50%,拡大PD単独群42%,非治癒切除で拡大PD+IORT群100%,拡大PD単独群67%と差はなかった.以上より,今回の検討では,拡大PDに線量25Gy程度の術中照射のみでは手術単独の治療成績を凌駕することはできなかった.

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