日本臨床外科医学会雑誌
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術前白血球数減少をきたした穿孔性腹膜炎症例の検討
仁科 雅良藤井 千穂
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1992 年 53 巻 3 号 p. 557-562

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抄録

過去10年間に当施設で手術・治療した穿孔性腹膜炎症例170例のうち,術前に白血球数が5,000/μl以下に減少していた症例は24例であった.白血球数減少は,高齢者および大腸穿孔に多かった.白血球数減少例では術後に白血球数は増加しており,術後2日目までは幼弱好中球が増加し,その後成熟好中球が増加していた.
白血球数減少例の死亡率は12.5%で,非減少例と統計上の有意差はなかった.しかし来院時に血圧の低下した症例では27.3%の死亡であるのに対し,血圧低下のないものでは死亡例はなかった.治療は過大な侵襲を与えない手術を選択し, γグロブリン製剤・血漿製剤・多価酵素阻害剤・H2阻害剤などを併用した.白血球数減少例は重症であるが,適切な治療により救命しうると考えられる.

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