1992 年 53 巻 3 号 p. 563-566
著明な血小板減少症(3,000/μl)と出血時間延長(1時間)を伴い,血小板輸血無効状態の28歳男性の再生不良性貧血患者に発症した胆嚢出血の手術に際して,術前のγ-グロブリン大量投与と血小板輪血が術中術後の出血防止に有効であった.
γ-グロブリンは1日10gを術前3日間連続投与し,術当日に血小板を輸血した.これにより血小板数が22,000/μlに増加して,術中出血量も約500mlにとどまり,術後経過も良好であった.
自験例において血小板数が増加した機序は不明であるが,抗血小板抗体が陰性であることから特発性血小板減少性紫斑病における機序とは異なっていると思われる.