抄録
16歳男性に発症した乳癌症例について報告する.
主訴は腫瘤触知.触診所見,画像診断でも悪性所見に乏しく,細胞診でもClass I~IIであった.穿刺後一旦縮小した腫瘤が再び大きくなったことにより腫瘤摘出術を行ったところMucinous carcinomaと診断された.単純乳房切除術を行い,腋窩リンパ節郭清は行わなかった.現在特に化学療法を行わず外来にて経過観察中であるが, 2年を経過して再発の兆候は全く無い.
男性乳癌は高齢者に多く,特に60歳台が最も多いといわれており, 20歳以下の男性乳癌は本邦4例目である.病因については種々の意見があるが本症例についてははっきりした要因は不明であった.予後は早期に診断され,根治手術が行えれば女性の乳癌に比して特に悪くないといわれている.