日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
同時性3重複癌(舌,乳腺,食道)の1例
鈴木 眞一有壁 譲岡本 二郎遠藤 辰一郎小山 善久安藤 善郎井上 典夫石井 芳正二瓶 光博君島 伊造土屋 敦雄阿部 力哉
著者情報
キーワード: 3重複癌, 同時性, 核DNA量
ジャーナル フリー

1992 年 53 巻 3 号 p. 611-614

詳細
抄録

舌癌,乳癌,食道癌による同時性3重複癌の1例を経験した.症例は58歳,女性.第1癌は舌癌にて右舌部分切除術施行され, T1N0M0 Stage I,高分化型扁平上皮癌であった.第2癌は右乳癌であり,第1癌術後約2カ月後に発見され右非定型乳房切断術を施行された. T2N1aM0 Stage II,充実腺管癌であった.第3癌は食道癌であり,第2癌術後4カ月頃より食思不欲出現し,体重減少が徐々に進行したその3カ月後に診断された.病理組織像は中分化型扁平上皮癌ですでに進行し,手術不能であった.全身化学療法を施行するも効果なく,半年後永眠した.この同時性3重複癌の経過を報告すると共にこれら3つの癌の核DNA量をパラフィンブロックを用いたフローサイトメーターによって測定した.さらに3重複癌につき若干の文献的考察を加え検討した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top