日本臨床外科医学会雑誌
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Dieulafoy潰瘍と思われる1手術例
水谷 郷一堀江 修櫻井 与志彦花上 仁幕内 博康田島 知郎三富 利夫
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キーワード: Dieulafoy潰瘍
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1992 年 53 巻 3 号 p. 615-619

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抄録

症例は40歳男性でタール便を主訴に来院した.内視鏡検査では,胃噴門部に凝血塊を認めたが明らかな出血源は認められず,原因不明の上部消化管出血の診断で入院となった.貧血を認め,またタール便が続くため輸血を施行し,内視鏡検査を数回施行したが,やはり明らかな出血源は確認できず保存的治療の限界と判断し入院15日目に緊急手術を施行した.術中内視鏡検査では,胃噴門側に少量の出血を認めたが出血源は確認できず,その他腹腔内に異常を認めないため,除外診断から出血源は胃噴門部付近にあり, Dieulafoy潰瘍を疑い胃全摘術を施行した.切除標本の肉眼所見と病理組織学的検索にて出血源は噴門より約2cm肛門側の前壁大彎寄りの径1.5mmのULIIの微小潰瘍から露出する径1.5mmの太い血管と判明し, Dieulafoy潰瘍と診断された.術後は経過良好で第21病日に退院となった.病理組織学的に診断されたDieulafoy潰瘍は,まれで貴重な症例であるので報告した.

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