日本臨床外科医学会雑誌
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腺腫成分のない多発十二指腸癌の1例
村国 均清宮 清治若林 峰生金光 裕幸島田 長人小沢 哲郎継 行男工藤 玄恵竹山 照尚
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キーワード: 原発性十二指腸癌
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1992 年 53 巻 3 号 p. 620-624

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抄録

原発性十二指腸癌は稀な疾患であるが,なかでも多発癌の報告例は少ない.私どもは十二指腸乳頭上部にBorrmann 2型(主病変)とIIa型(副病変)を併せもつ多発性の原発性十二指腸癌を経験したので報告する.症例は68歳の女性.胃十二指腸造影,内視鏡ならびに生検所見にて原発性十二指腸癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.肉眼所見で十二指腸乳頭上部の後壁に1.0×1.1cm大のIIa型腫瘤(sm)がみられ,その遠位側に隣接して輪状狭窄像を呈した3.7×2.2cm大のBorrmann 2型の進行癌(pm)を認めた.組織学的にはいずれも高分化管状腺癌で相互に連続性はなかった.腫瘍および十二指腸粘膜に腺腫成分の混在はなく,リンパ節転移も陰性であった.併せて1985年から1990年までの本邦文献報告から原発性十二指腸癌115例を集積し若干の検討を加えた.

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