日本臨床外科医学会雑誌
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十二指腸憩室,胆石を合併した腸管嚢胞様気腫症の1例
七島 篤志伊藤 重彦大江 久圀添田 修安武 亨岡田 代者松本 佳博辻野 直之
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キーワード: 十二指腸憩室, 胆石
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1992 年 53 巻 3 号 p. 625-628

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抄録

腸管嚢胞様気腫症Pneumatosis cystoides intestinalisの1例を経験したので報告した.
患者は84歳の女性で,右季肋部から側胸部にかけての疼痛で来院し, X線検査上free airを腹腔内に認めた.腹膜刺激症状は軽度であったが,高齢でもあり激しい腹痛が持続するため消化管穿孔を否定できず手術を施行した.開腹すると胆石を伴う胆嚢炎,十二指腸憩室及び回腸壁内の多数の小嚢胞が存在したが,消化管穿孔の所見は認められなかった.病理組織診断では小腸粘膜下に嚢胞様気腫がありPneumatosis cystoides intestinalisと診断した. free airは本症によるもので疼痛の原因は胆石発作によるものと考えられた.術後は良好に経過し退院した.

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