日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
Mesodiverticular bandにより絞扼性イレウスをきたしたMeckel憩室症の1例 -症例報告と本邦報告482例の臨床的検討-
楠本 宏記神代 龍之介左野 千秋犬塚 貞光
著者情報
キーワード: Meckel憩室
ジャーナル フリー

1992 年 53 巻 3 号 p. 639-643

詳細
抄録

Meckel憩室に伴うMesodiverticular bandを手術中に確認することは困難である.われわれはmesodiverticular bandにより絞扼性イレウスをきたしたMeckel憩室を経験したので報告する.症例は15歳男性で,腹痛を主訴として発症1日後に入院した.腹部全般に圧痛がみられたが,筋性防御は認められなかった.腹部単純X線像上niveauを認めた.絞扼性イレウスを疑い,開腹したところ回盲弁から80cm口側の回腸にMeckel憩室が存在し,その先端より腸間膜にかけて索状物を認めた.憩室と索状物の間に口側回腸が30cmにわたって嵌入し,絞扼されていた.手術は索状物を結紮切断して絞扼を解除し,憩室を楔状に切除した.摘出標本には異所性胃粘膜が存在した.症例報告と共に過去10年間に報告されたMeckel憩室482例,このうちmesodiverticular bandによる絞扼例38例を文献的に検討した.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top