1992 年 53 巻 3 号 p. 644-647
56歳女性の回腸に発生したinflammatory fibroid polypを報告した.本症例は食後の腹痛をくり返した.腹部単純撮影にて鏡面像を認めたため入院となる.水溶性造影剤服用後のCTで消化管内腫瘤を認めたため手術を施行.回腸に回腸・回腸型の腸重積を認め,広範囲小腸切除術を行った.
病理組織学的には腫瘤(3.2×2.8×2.8cm)は粘膜下を占拠し,頂部に潰瘍が存在し,腫瘍組織内には好酸球,リンパ球などの炎症性細胞浸潤が著しかった.また線維芽細胞の粘膜下層での増生も伴っていた. IFPを中心とした小腸粘膜下腫瘍の診断法,腸切除のあり方などについて文献的な考察を加え報告した.