日本臨床外科医学会雑誌
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小腸原発と思われる悪性黒色腫(amelanotic melanoma)の1例
勝峰 康夫世古口 務中濱 貴行山本 敏雄稲守 重治
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1992 年 53 巻 3 号 p. 648-652

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抄録

腫重積にて発症した小腸悪性黒色腫の1例を経験した.症例は28歳の男性. 3カ月前よりときどき心窩部痛があり,内科にて貧血を指摘され,腹部超音波検査,上部消化管造影検査を行ったが異常は認められなかった.平成2年11月16日強い上腹部痛出現し入院となる.入院時腹部超音波検査では,腹部中央部に低エコー腫瘤を認め,腫瘤内部は同心円状の層状構造呈し, CTでも同様の所見を認めた.腸重積と診断し緊急手術を行った.回腸に3cm大の腫瘍を先進部とする腸重積を認め,小腸部分切除を行った.組織検査では未分化癌を疑った.術後貧血が改善しないため小腸造影を行ったところ,空腸に隆起性病変が多数認められた,再開腹術を行い小腸部分切除を施行した.組織検査にて腫瘍は小腸悪性黒色腫(amelanotic melanoma)と診断され,化学療法はDTIC, ACNU, VCRによりDAV療法を施行した. 6カ月目の現在元気に日常生活を過ごしている.

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