1992 年 53 巻 3 号 p. 662-666
消化管の神経鞘腫は稀な疾患であり,特に大腸に発生する神経鞘腫は非常に稀である.最近,直腸に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は56歳女性.尾骨部腫瘤触知,便柱の扁平化を主訴に当科を受診し,入院となった.注腸造影,大腸内視鏡, CT検査,およびNeedle Biopsyにより直腸原発,壁外増殖性の神経線維腫として手術を行った.術中の迅速病理検査によっても悪性所見は見られず,腫瘍摘出のみとした.腫瘍はダンベル型であり永久標本にて神経鞘腫と診断された.組織型はAntoni A, B型が混在しており悪性所見は見られなかった.