抄録
肝硬変症による食道静脈瘤に対する直達手術132例,内視鏡的硬化療法(EIS) 80例の治療経験より,両治療法の問題点と併用療法の位置づけに関して検討した.手術, EIS群の在院死亡率はそれぞれ9.8, 14%であった.特に両群ともChild C群,緊急時治療群では直接,遠隔成績ともに不良なことより,これら治療法の限界が示された.手術群での再出血率は7%であり,血管郭清範囲を制限したものに高い再出血率を認めた. EIS後の再出血率は25%と高値であった.手術後EISを8例に, EIS後手術を4例に施行し治療後2~11年(平均4.7年)の間再出血は認めていない.初回治療として手術を選択した場合,手術に対する何らかのrisk因子を認める症例では血管郭清範囲を制限した侵襲軽度な術式に留め,随時EISを追加すべきである.また, EIS選択例では,肝機能の改善をはかり永続的な止血効果の高い手術療法を可能な限り追加すべきである.