抄録
70歳以上の高齢者肝細胞癌切除症例34例について, 70歳未満の症例89例と臨床病理学的に比較検討した.高齢者症例は70歳未満の症例に比べて,女性の頻度が高く, HBs抗原陽性率が低い傾向にあったが,他の臨床病理学的所見には差を認めなかった.高齢者症例に対して62%の治癒切除がなされ, 53%の5年生存率を得た.高齢者症例の手術直接死亡率,入院死亡率,肝不全発生率,術後の呼吸器合併症の発生率,術後平均在院日数,累積再発率,累積生存率は非高齢者と差を認めなかった.以上のことより高齢者肝癌症例でも,進行度を考慮にいれた適切な術式を選択すれば, 70歳未満の症例と同等の予後が期待できると考えられた.