抄録
腹部多発動脈瘤を認め,急性腹症で発症したMarfan症候群の1例を経験したので報告する.症例は21歳男性で, 1卵性双生児. Marfan体型で,内反足と股関節脱臼の手術歴がある.上腹部痛にて来院.血液検査で白血球増多とCPK高値を認めた.単純レントゲンでイレウス像を呈し, CTでは,膵周囲後腹膜の液体貯留を認めた.腹部血管造影にて腹腔動脈瘤,上腸間膜動脈瘤,両腎動脈瘤を認めたが,解離性大動脈瘤の所見はなかった.上腹部痛著明となり,緊急手術施行.著明な後腹膜血腫,血性腹水を認めた.破裂が疑われた上腸間膜動脈瘤を大伏在静脈で置換した.術後経過は良好だったが, 5日目に,突然の心停止をきたし死亡した.剖検により頸動脈,腎動脈に及ぶ解離性大動脈瘤(DeBakey Type I),多量の胸腔内出血,脳クモ膜下出血脳室穿破,著明な動脈壁中膜嚢状壊死を認めた.腹腔内出血は認めなかった.