日本臨床外科医学会雑誌
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下行結腸リンパ管腫の1例
中島 信久武田 圭佐真喜屋 実佑内野 純一
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1992 年 53 巻 4 号 p. 896-899

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抄録

リンパ管腫は全身の至るところに発生するが,消化管ことに大腸における発生はまれである.最近われわれは下行結腸のリンパ管腫を経験したので,本邦集計82例の検討とともに報告する.症例は26歳男性で,腹痛及び下血を主訴に来院した.注腸造影及びCFで下行結腸の粘膜下腫瘍の診断を得,手術を施行した.病理組織学的にcystic lymphangiomaであった.本邦報告例の集計では,年齢は平均52.4歳で,男女比は5:2であった.発生部位は大腸全域にわたるが,盲腸~横行結腸が全体の72%を占めていた.腫瘍の大きさは最大径で0.5~12cm,平均3.1cmで,このうち2cm以下のものが27例あった.治療は2cm以下の場合は主として内視鏡的摘除が,それより大きい場合は全例外科的切除が施行されている.本疾患では悪性化例の報告は皆無であり,鑑別診断に注意して過大な手術侵襲を加えないことが重要である.

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