抄録
大腸Villous tumorは欧米に比べて日本では比較的稀な疾患であるが,癌化の問題や外科的治療法について臨床的に興味深い疾患である. 1983年1月より1988年12月までに当院で経験した大腸Villous tumor 20病変を対象として,臨床的及び病理組織学的に検討した.平均年齢は61.3歳で性差はなく,初発症状は下血が半数以上を占め,部位はS状結腸と直腸に多かった.癌合併率は55%で,大きさや肉眼型と癌合併とは相関関係を認めなかった.組織学的には絨毛腺腫のほうが腺管絨毛腺腫より癌合併率が高かった.治療法は,良性病変とm癌は内視鏡的ポリペクトミーや経肛門的切除で,良性病変で大きいものやsm癌以上はリンパ節郭清を含む腸切除を施行している.以上のことより,大腸絨毛腫瘍の癌化は絨毛腺腫の癌化によるものが多いと思われた.また,下部直腸の絨毛腫瘍では,まず局所を切除することが重要と思われた.