抄録
肝血管筋脂肪腫の1例を経験した.症例は50歳男性.検診にて肝腫瘍を指摘された.腹部超音波検査では,肝外側区域に直径約6cmの境界明瞭な高輝度を呈する腫瘤性病変を認めた.腹部CT検査では,低濃度領域として描出され,腹腔動脈造影では,左肝動脈枝の偏位とわずかな腫瘍濃染像を認めた.肝血管筋脂肪腫を疑ったが肝細胞癌脂肪変性の可能性も否定できないため,肝外側区域切除術を施行した.病理組織診断では薄い被膜を有する肝血管筋脂肪腫であり,悪性所見は認められなかった.肝に発生する血管筋脂肪腫はきわめて少なく,本邦報告は現在までに14例にすぎない.本症例は特徴的画像を示したが,悪性例の報告はないものの肝細胞癌脂肪変性との鑑別診断が困難なこともある.その場合は切除標本による組織診断に委ねられており,切除すべきと思われる.