抄録
Chlamydia trachomatis (クラミジア)感染による腹膜炎は,若年者女性の場合まれに激烈な腹痛を呈する疾患であると言われている.われわれは急性腹症を呈したクラミジア性腹膜炎の2症例を経験したので報告する.症例1は18歳:女性,症例2は19歳:女性.症例1は激烈な右側腹部及び下腹部痛,症例2は下腹部痛にて発症し,両症例とも穿孔性虫垂炎の疑いにて開腹手術を施行し,無臭性黄赤色の腹水の貯留を認めたが,虫垂に炎症所見が乏しく,血清クラミジアIgG抗体>128倍及びIgA抗体>16倍より,クラミジア性腹膜炎と診断した.特に症例1は発症時にGOT, GPTの上昇を認めたため,臨床所見も考慮してFitz-Hugh-Curtis syndromeと診断した.若年者女性で激烈な下腹部痛を有する症例では,クラミジア性腹膜炎も鑑別すべき疾患の一つと考慮し,血清クラミジアIgG及びIgA抗体の測定が必要であると思われた.