抄録
AFP高値を示し,免疫組織化学染色によりAFP陽性細胞を証明しえた,巨大な原発性十二指腸癌の1例を報告した.
症例は53歳,女性.主訴は右季肋部痛.術前AFPは9,210ng/mlと高値を示し,腫瘍は14×12×8cm大で,十二指腸下行脚から壁外性に増殖し,一部は膵頭部前面を覆うように占居し,また胆嚢,肝右葉を圧排し,横行結腸,膵鉤部及びSMV本幹に浸潤していた.肝転移はなく,膵頭十二指腸切除,横行結腸切除術を施行した.組織学的には中分化型管状腺癌, PAP法による免疫組織化学染色でAFP陽性を示した.
AFP高値十二指腸癌の本邦報告例は,自験例を含めて8例と少なく,うちAFP染色にて局在の証明されたものは6例であった.本症では肝転移が高率にみられ,予後不良であり,積極的な外科的切除と強力な補助化学療法が必要と考えられた.