抄録
同時性大腸多発癌に合併した閉塞性大腸炎の穿孔例を経験したので報告する.症例は58歳男性.左下腹部痛,発熱を主訴に来院.腹部単純X線写真にて,結腸の拡張像,鏡面像を認め,大腸イレウスの診断で入院.大腸内視鏡検査にて,肛門縁より約15cm口側の直腸に癌腫を認め,これより口側は狭窄のため観察不可能であった.内視鏡下にマイクロ波凝固によるイレウス解除を試み,多量の排便を認めたものの,翌日のX線写真では,遊離ガス像を認め,大腸穿孔を考え,緊急手術施行した.直腸(Ra)及びS状結腸に癌腫を触知し,一方,上行結腸は炎症が強く,腸間膜反対側に2カ所穿孔部を認めた.大腸癌に合併した閉塞性大腸炎の穿孔と考えた.右結腸切除,回腸瘻,上行結腸瘻造設,腹腔ドレナージを施行した.初回手術より約3カ月後に癌病変の切除手術を施行した.大腸多発癌に合併した閉塞性大腸炎の報告は見られず,稀な症例と思われ報告した.