抄録
症例は64歳,女性. 1979年2月,胆嚢胆石症,総胆管結石症,肝内結石症の診断のもとに胆嚢摘出術,総胆管截石術を施行した.しかし,右葉後区域に限局した胆管拡張,肝内結石を放置したままで,術後胆管炎症状を繰り返していた. 1989年12月,超音波検査, CT検査,血管造影検査で肝内結石症,総胆管結石症に肝膿瘍を合併したと診断し,超音波下ドレナージ施行した.同時施行した細胞診でGroup-5であったので再度血管造影検査後,肝内胆管癌の診断のもと, 1990年4月12日,開腹術を施行した.腫瘍は肝右葉から横隔膜下に穿破した高度進行胆管癌で,肝右葉切除術,右腎,一部横隔膜の合併切除を施行したが,絶対非治癒切除に終わった.術後6カ月,横隔膜,後腹膜に遺残した胆管癌の再発のため癌死した.肝内結石症術後の肝内胆管癌の診断の困難さから肝内結石症手術時,また術後頻回の胆管炎症状を呈する時期に罹患胆管を含めた予防的肝切除術を考慮すべきであった.