抄録
術後1年以上経過した甲状腺分化癌284例に関して,治療法,再発の頻度,遠隔成績などを検討した. 33例は他の良性疾患に合併した微小癌で, 27例が遠隔転移や他臓器浸潤のために切除が不可能な進行癌であった.術後再発が認められたものは,甲状腺癌に対する標準手術が行われた175例のうちの15例および姑息術が行われた82例のうちの2例であった.微小癌症例では再発は1例もみられなかった.頸部リンパ節転移に対しては,局所切除による治療で良好な予後が得られた.進行癌に対して種々の治療が行われたが,外照射や化学療法の効果は認められず, 131IによるRI治療が比較的有効であった.また,気管浸潤例に対するNd-YAG laserを用いた照灼療法は, Quality of lifeを保つための保存的治療として有用であった.直接法による10年最大生存率は0.9, Kaplan-Meier法による10年累積生存率は0.94であった.