抄録
肝破裂に肝静脈損傷あるいは下大静脈損傷合併例の死亡率は極めて高い.加えて,本損傷に適用される幾つかの補助手段の優劣については未だ結論がでていない.今回,当施設で経験した本損傷14例を適用された補助手段により,用手圧迫群7例,肝上下,下大静脈遮断群(IVC遮断群) 4例およびatrio-caval shunt群(ACS群) 3例の3群に分類し,それぞれの手術死亡率,死亡原因について検討した.死亡率については,用手圧迫群57.1%, IVC遮断群75%, ACS群0%であった.尚,用手圧迫群の生存3例中2例は小児例であった.用手圧迫群の死因は出血性ショック, IVC遮断群の死因は冠動脈血流量減少による心停止が推測された.未だ経験症例数は少ないが,本損傷の補助手段として,小児例に対しては用手圧迫,成人例に対してはatrio-caval shuntが適用されるべきではないかと考えている.