嚢胞形成をともなった胃平滑筋腫の稀な2例を経験したので報告した.症例1は74歳の男性.腹部腫瘤にて来院した.入院時上腹部に境界不明な12×12cmの腫瘤を触知した.胃内視鏡および腹部Computed tomography (CT)により,多房性の嚢胞形成を伴う胃粘膜下腫瘍と診断された. 1986年5月,胃切除術を施行した.病理組織学的には多房性平滑筋腫であった.症例2は60歳女性.嘔気,嘔吐を主訴として来院した.胃内視鏡にて胃粘膜下腫瘍と診断された.腹部CT scanおよび超音波検査にて単房性嚢胞形成を伴う胃粘膜下腫瘍と診断された. 1990年6月,腫瘍を含む胃部分切除を施行した.病理組織学的には嚢胞形成性胃平滑筋腫と診断された.嚢胞形成を伴う胃平滑筋腫は珍しく,本邦では過去1例の報告をみるのみである.胃平滑筋腫は,常にmalignant potestialを有することを考え,外科的切除が第一選択であると考える.