抄録
多発胃平滑筋肉腫の報告は非常にまれであり,これまでに本邦では1例が報告されているにすぎない.今回,リンパ節転移,肝転移をきたした多発胃平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する.
症例は47歳女性で,特発性門脈圧亢進症を合併していたため,胃全摘,膵脾合併切除,肝転移合併切除を2期的に行った.平滑筋肉腫は胃上部に2個,胃体部に1個の計3個認められ,組織学的にはいずれの腫瘍もほぽ同様の組織像で,筋繊維産生の多い比較的分化した像と筋繊維産生がほとんど認められず,核が類円形でepithelioid patternを示す像が混在していた.リンパ節転移を3個,肝転移を2個認めた.術後にCisplatin, Etoposide, Mitomycin Cの肝動注を行い,術後1年以上経過後も再発を認めていない.