抄録
十二指腸カルチノイドの1例を経験し,特に超音波内視鏡(以下EUS)による超音波像を中心として報告した.
症例は63歳男性,検診で十二指腸の隆起性病変を指摘され,その際の内視鏡検査では表面平滑な粘膜下腫瘤でありその頂部には発赤を認めたが同部の生検では陰性であった.その18カ月後の内視鏡像では頂部に潰瘍を認め同部よりの生検でカルチノイドと診断され手術目的で当科に入院した.上部消化管内視鏡所見では十二指腸球部前壁に頂部に潰瘍を伴う径10mmの山田III型の隆起性病変を認め, EUS所見では腫瘍はやや辺縁不整,内部は比較的均一な低エコーの腫瘤として描出され,固有筋層には浸潤していないものと思われた.以上より粘膜下層に限局するカルチノイドと診断し, R2リンパ節郭清を伴う胃亜全摘術を施行,摘出標本でも腫瘍は粘膜下層内に限局していた. EUSはカルチノイドの術前検査として有用な検査法と思われた.