抄録
結腸十二指腸瘻を形成した横行結腸癌症例に対し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)を併施することにより病巣治癒切除を果たしえた症例を経験した.症例は60歳男性.嘔吐,下痢を主訴とし,上部消化管造影,注腸造影, Computed Tomographyなどにて十二指腸水平脚に直接浸潤し,瘻孔を形成した横行結腸癌と診断した.右半結腸切除術とPPPDを併施することにより,所属リンパ節を含めて病巣を一塊として切除しえた.組織学的リンパ節転移は認められず絶対治癒切除と判定した.術後は重篤な合併症なく退院し,術後1年経過した現在,栄養状態良好で,再発の徴候なく職場復帰を果たしている.
本症例に施行した手術術式の要点を中心として,当教室におけるPPPDの適応,手技上の工夫点,術後の管理や栄養状態などにも言及した.