抄録
トロトラスト注入45年後に発症した胆管細胞癌を経験し,動注療法により比較的長期生存を示した1例を経験したので報告する.
症例は67歳,男性.肝機能異常を指摘され精査したところ肝右葉後区に腫瘤を認めた.戦時中,トロトラストによる造影の既往がある.入院時検査所見でCA19-9, DUPAN2の異常高値を認めた.術前echo下穿刺により胆管細胞癌の診断を得た.
手術所見では腫瘍は下大静脈,右肝静脈,中肝静脈,左肝動脈,更に横隔膜への直接浸潤が認められたため切除不能と判断し,抗癌剤動注のため固有肝動脈に動注ボンプを挿入し手術を終了した.術後より抗癌剤動注療法を開始し画像診断で腫瘍確認から死亡まで1年8カ月と比較的長期生存を示した.
本症の治療に対しては統一性を持っていないが切除不能例であっても積極的動注療法が延命効果をもたらす手段の一つと思われた.