日本臨床外科医学会雑誌
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胆嚢胃瘻の1例
竹内 幸康森 匡小川 法次竹中 博昭宗田 滋夫
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1992 年 53 巻 6 号 p. 1413-1417

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抄録
症例は69歳の女性. 40歳頃に,胆石症と診断されたが放置していた.糖尿病の治療中,腹部超音波検査で胆道内ガス像を認めた.胃内視鏡下の瘻孔造影により,胆嚢胃瘻と判明した.血液検査では,軽度の肝機能障害を認めた.開腹すると,胆嚢は高度に萎縮し胆嚢管部のみとなり,胃前庭部と瘻孔を形成していた.瘻孔周囲の胃壁とともに,胆嚢を摘出した.総胆管内には,食物残渣が存在していた.胆嚢管壁には,著明な炎症を認めた.
胆嚢胃瘻は,本邦では文献上14例の報告があったが,食物が胆道内に侵入した症例はなかった.内胆汁瘻の治療は,胆管炎症状がなければ上部消化管との交通は放置してもよいとの見解があるが,無症状例であっても食物残渣の胆道内への侵入により,重篤な胆管炎を併発する可能性があり,早期の外科的治療が原則と考えられた.
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