抄録
体外衝撃波結石破砕療法(以下ESWL)では,破砕時に生じる破砕片の排出処置を,またMTBE等の溶解剤を使用する直接胆石溶解療法では,薬剤と結石の接触を確実にするために注入排出を繰り返し行う必要があり,それぞれ問題点となっている.この2つの治療法を併用し,溶解剤による破砕片の溶解縮小効果と衝撃による薬液の攪拌効果を同時に得ることができないかを検討した.
コレステロール系混合石を使用したMTBE併用ESWLのin vitroでの実験を行った.コレステロールは油滴としてMTBE液内に溶けこみ,混合石細片は容易に溶解縮小した.この結果より,総胆管結石2例にMTBE併用ESWLを行いコレステロール系結石症例に完全消失を得た.ビリルビン結石例は, ESTによる採石を必要とした.ビリルビン結石は他の溶解剤の使用を考える必要があるが,溶解剤併用ESWLは総胆管結石で試みられてもよい治療法と考えられる.